「スタンドトトノイ」さんや「松月」さんを訪れる度に板橋周辺を散策して見つけたお店。最近テレビで取り上げられたからなのか、なかなか予約が取れなかった。やっとのことで訪問した酒場は個性豊かに仕上げられたうまい肴が食べられるヤバいお店でした。
場所と雰囲気
場所はJR板橋駅から徒歩3分程度。旧中山道を渡ってやや狭い路地を入ったすぐのところにある。スチール製の行燈と照らし出されたBETTAKOの木製看板。
暖簾を潜って中に入ると、厨房を囲むようにL字に設えたカウンターに先客が4名。入って左手は飾り棚になっており様々な種類の焼酎が一升瓶でズラリと並ぶ。
入り口
店主と思しき男性は板場で黙々と仕事をされており、サービス担当の女性がテキパキとホールを回す。入り口付近の席に通していただきまずはビールを注文。この席はカウンター越しに店主と向かい合っており、手元は見えずとも仕事ぶりが伝わってくる。
メニューを眺めると料理名にやたらと「酒あて」や「本日仕上げ」という言葉。例えば「赤貝の酒あて刺し」といった具合でいわゆる普通の刺身とどう違うのかとても気になるところ。ひとまず”酒あてちくわのめかぶ和え”、”本日のなめろう仕上げ”、”地鶏レバーの本日仕上げ”の3品を注文した。
地鶏レバーとなめろう
テレビを眺めながらちびちびビールを飲んでいると”酒あてちくわのめかぶ和え”が到着。ちくわに出汁が入ってるな多分これ。スピードメニューらしくシンプルなつまみだけどひと工夫あって面白い。
ちくわとめかぶ
続いて”地鶏レバーの本日仕上げ”、まずビジュアルがすごい…どうなってんだこれ…。白レバーの上にクリームチーズのようなもの、さらに白レバー、そして一番上にジュレみたいなものがかかっている。どうやって食べりゃいいんだこれひとまずジュレ(っぽいなにか)を食べてみた。
地鶏レバーの本日仕上げ、見た目のインパクトがすごい。
旨味を伴う柔らかな塩味、ジュレというよりはややサラサラとした食感があり、出汁が混ざった芋類のすりおろしのよう。でこれと一緒にその下にある白レバーを口に放り込むわけだけどこんなもんは美味いに決まってんだ。
その下にあるクリームチーズみたい白いやつはにんにくの風味がついていて、ただでさえうまい白レバーに追い討ちをかける。一品目から度肝を抜かれた次第である。
本日のなめろう、魚はメジナ
続いて”本日のなめろう仕上げ”。魚はメジナ、一見普通の見た目なんだけど上にかかっているオレンジ色のピューレは金時人参とのこと。脂が乗ってねっとりとしたなめろうに人参の自然な甘さと根菜独特の香りが絶妙に合う。どうやったこうなっちゃうんだろうな…すごい酒場であると確信しお料理を追加。
赤貝と純米粕づけ焼き
やってきました”赤貝の酒あて刺し”。赤貝は自然薯に似た独特の風味とザクッとした歯応えが魅力のとっても好きな貝である。黄金色の魚介のソースの上にこんもりと盛り付けられたのはおよそ刺身とは言い難い代物。重ねられた赤貝の切り身の間からすり下ろした山芋のようなものが漏れ出している
赤貝の酒あて刺し
食べてみると赤貝のサクサク感と食感のある芋のすりおろしがとても合う。ソースは何かの貝(忘れた…)からとった出汁を使っているらしい。これも旨味が凝縮されている。赤貝だけで食べても良し、白い何かと和えても良し、それにソースを絡めても良し。楽しいなこのつまみ、それにめちゃくちゃ美味い。
続いて”本日の純米粕づけ焼き”。魚は何かな??などと呑気なことを考えていたらかんぱち、あずきはた、いなだの3種類が出てきた完全に想定外だ。味わいや食感の違う焼き魚をちょっとずつ食べられるなんて酒飲みにはたまらんね。かんぱちとあずきはたは2切れついてました。
純米粕づけ焼き、魚3種は想定外だ
メニューの左下にその日急遽追加したであろう”鯨赤身肉の酒あて仕上げ”というのがありずっと気になっていた。まだ食べられそうだしわざわざ追加するくらいだからきっとすごいものが出てくるに違いない、と思い最後にこいつを注文した。
見えない鯨
で、出てきたのがこれです。中に鯨が入っているとはお天道様でもわかるまいといったビジュアルである。出汁の効いたたまごがふんわりと泡立ててあり、一見するとおしゃれなイタリアンかなんかで出てくるズッパのようである。
くじらみが全く感じられない
で、ほじくっていくと出てきました鯨が。口に入れてみると…うぉ、この味わいはまさにユッケのそれ。黄身が乗っているユッケと比べてややあっさりしているけど、口の中で泡が弾けて赤身と出汁の香りが立つようになっており味わいに奥行きを感じさせる。
くじらだ
お料理があまりに良すぎるので帰り際に次回の予約をしてしまったほど。ちょっとその辺にはない特徴のある絶品料理が楽しめるお店。次回が楽しみである。
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