予約必須の名酒場、南千住「丸千葉」を訪問

南千住

ある晴れた日の昼下がり、南千住駅から徒歩10分弱の場所にある名酒場「丸千葉」を訪問した。開店時間の2時から満員御礼。昼間オープン、口開け満席店の意味するところは事実上の”予約必須”である。

何がよいのか?

この酒場の良さを尋ねられたら「サービスと居心地よさ」と答える。じゃあ一体それってなんなのよ?という話なのだが、お店が酒飲みのことを「よくわかっている」ということに尽きると思う。

例えばこうだ。あなたが無数に掲げてある短冊メニューをみて迷っていると「なんでも聞いてなー」と声をかけてくれる。「貝刺し盛り合わせも食べたいけど戻り鰹の刺身も気になってて…」と伝えると、「じゃあ貝刺しに鰹2切くらいつけとこうか」となる。柔軟すぎる。タコです。

安定のアサヒ大瓶

こうなるとつまみの組み合わせも無限に広がり酒場の楽しさが飛躍的に向上して居心地も5割増し。本当によくわかってるなーといつも思う。

刺身と磯辺揚げ

この日訪問すると2時半にもかかわらず予約で満席。店主の客足らいに耳を傾けつつ、まずはアサヒの大瓶。メニューにあったまぐろ、秋刀魚、つぶ貝を一人前盛り合わせにしてもらい、ちくわの磯辺揚げを注文した。

超有名店だけあって客層も幅広い。ビールを啜りながら話を聞いていると隣のカップルは埼玉から。そのまた隣のご夫婦は神奈川から来たらしい。昼の2時ですよ(お前もな感)。

そうこうしているうちにオーダーメイドの刺身盛り合わせが到着。早速つぶ貝を一口。独特の歯触りと潮旨みが舌を楽しませる。秋刀魚は思わず「ほー」っとフクロウ化してしまうくらい脂が乗っかっていて身の歯切れもよく美味しい。マグロは正義、正義。

刺身盛り合わせ一人前(オーダーメイド)

続いてちくわの磯辺揚げ。ちくわの磯辺揚げって酒場で注文するの初めてかもしれないな退潮しつつある記憶を探ったところ。で、当たり前に青のりが乗っかっているんだけど見るからにカリカリ。大変旨そうな見た目である。ビジュアルは大事。

食べてみるとやはりカリッと揚げられていて塩加減抜群の味わい。青のりからくる潮の香りも爽やかな逸品。これはうまい。

ちくわの磯辺揚げ

身欠きにしんとあん肝

つい最近まで、ビールを飲み干す前に別の飲み物を注文することはなかった。ご飯もそうだ。私はどういうわけか一つの皿を空にしてから次の皿に移るという習性がある。でも「つまみに合わせて飲み物が複数あってもよい」ということに最近気がついたのだ。もちろん、カウンターでは自分のテリトリーの範囲内に収まればの話だけど。

ビールをグラス1杯と半分程度残した段階で日本盛を常温で注文。注文したつまみの量も心許無くなってきたので短冊を物色していると、右隣のおっちゃんに”みがきニシン”なるものがサーブされた。どうも頭と内臓を取ったにしんを干物にしたものらしい。いただきます。ついでにあん肝も注文した。

みがきニシン焼き

暫くすると”みがきニシン”が到着。食べてみるとややパサパサとした身ではあるが干物だけあって旨味と塩気がある。皿に添えられた味噌をつけてみると旨味が足されてうまい。日本酒を熱燗で追加。

あん肝

あん肝は若干生臭さはあるもののここまでくるとだいぶ酔っ払っており熱燗のアルコールでほとんど気にならなかったアルコールは偉大です。

最後に生中を一杯。こちらの生ビールはなかなかうまいのです。それにしても次から次へとお客さんが入ってくる。予約の管理とかどうなってるんだろうか……などと素人が余計な心配をしつつ店を後にした。大切なことなので最後にもう一度言うけど、ここは実質”予約必須”なのでご注意を。

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