私はお酒が好きである。それなのに、レストランに行くとどうしても料理がメインになってしまいワインが3杯くらいしか飲めない時がある。かといって、ワインバーでお腹を満たせるほど小腹でもないという些かわがままなバディも持ち合わせている。そんな中訪問したこちらは、気の利いたお料理とともに自然派中心の美味しいワインがいただける、まさに願ったり叶ったりのお店だった。
場所と雰囲気
場所は神保町。A9番出口を出て神田方面に3分ほど歩いたところ、ガラス越しにディスプレイされたワインボトルに期待が高まる。中に入ると右手に厨房、それを取り囲むようにコの字にカウンター席が配置されている。
看板
カウンターは最大8名ほどがゆったりと利用できる座席の間隔。とても居心地が良い。カウンターの広さ的にもう1~2名は入りそうだけど、客の居心地を配慮した結果なのだと思う。通路の突き当たりには最大3名程度が利用できるテーブル席もある。
こちらはシェフがサービスもこなす完全ワンオペスタイル。非常に柔らかで落ち着いた雰囲気なのに、テキパキお料理を作りつつサービスも電話対応もこなす姿にプロフェッショナリズムが感じられる。
まずはアルザスのクレマンを頂戴し、メニューを物色。超うまそうなものばかりなのに殆どがハーフポーション対応とのことでいきなり5品注文してしまった。それではいってみましょう。
え、これうま、となった泡
サラダとサバとオムレツ
一品目は春やさいのサラダ。ホクホクと風味の良いそら豆にシャキシャキのスナップエンドウ、菜の花にからりと揚げられた芽キャベツ。緑の香りがとても爽やかで一つ一つ食感が異なるのも小気味良い。最初からおいしい、とっても。
春の香り
サラダって普段あまり注文しない料理なのだけれど、季節をダイレクトに味わうのにとても良いお料理なんじゃないか。また一つ勉強になったな。酒を飲むと賢くなります。
続いてサバのエスカベッシュ。こりゃ要するに”南蛮漬け”の原型だね。日本の南蛮漬けに比べると酸味が穏やかでワインのような果実の香りもするし、ブラックペッパーのスパイス感が食欲をそそる。こんなもんは白ワインが進むに決まっているのでチャコリを注文しました。
“南蛮漬け”の親分
チャコリです。すっきり爽やか。
三品目は黒トリュフのオムレツ。しっかりと塩気のあるこの濃厚なオムレツはワインを蒸発せしめるためにあるような料理だ。このお店のスペシャリテらしく王道にうまい。いやー、うまいわこれは。だいたいオムレツってやつは見た目に反して自分で作るのはめっぽう難しいのでプロが作ったものを食べるに限ります。うまいうまい、とてもうまい。
香りと味わいの暴力(褒めてます)
コロッケと煮込み
三杯目のワインはボジョレーブラン。右下にガメイの銘醸地”モルゴン”の文字が見えたので注文してみたんだけど、よくみたらど真ん中に魚の絵が書いてあってこれ魚に合わせろよって意味なんだよねたぶん、これから来るのコロッケなんだけど。ともあれ、程よい塩っぽさがあり、繊細なのにちゃんと筋のある綺麗な酸味が溶け込んでいてとても美味しい。なるほど、青魚にぴったりの味だがサバはもうない。
ボジョレーの白
次の料理はポルチーニのクリームコロッケ。ポルチーニってやつはどうしてかくも薫り高いのでしょうか。目の細かい衣は薄くカリッと香ばしい。これはフルでお願いすればよかった…2個じゃ足りない。
断面
コロッケの途中から赤ワインに切り替え。産地はピエモンテでバルベーラ100%。自然派らしい紫蘇の香りや梅を齧ったような果実味も感じられる。自然派ワインはひどく悪臭のするもの以外は似たような味筋に感じられるのだけれど、これは渋味があってどっしりとした特徴が際立つワインだった。単体で普通にうまい、が、ポルチーニに合うかと言われるとはっきりいって微妙である。まあ同じ北だし、悪くはない悪くは(雑)。
自然派どっしり
お料理の最後はトリッパのバジル煮込み。トリッパの煮込みといえばトマトベースが一般的かなと思うのだけれどこれは完全にバジル。味付けはシンプルな塩味、内臓の旨みがギュッと詰まっていてひたすらうまい。食べてられよかったなーと思わせる一品だった。
気持ちいいくらいバジル
今回はお店のスペシャリテと思しきお料理を選んだわけだけど、結局思ったのは全部フルでよかったうますぎるので。ワインは自分で選んでもいいし、お料理に合うものをシェフに選んでもらうのも良いと思う。次はおまかせにしてみようかな。
ボトルワインも結構あって小売の2倍弱くらいなのでかなり良心的な価格かと。お店自体は小さいので最大3名位で利用するのが良いかもしれない。基本予約でいっぱいになるようなので事前に連絡するのが吉。また行きます。ごちそうさまでした。
飲んだワイン↓どれも美味しかった。
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