鐘ヶ淵の奇跡、「酒亭田中」を訪問

酒場

SNSに影響されずっと行きたいと思っていた鐘ヶ淵の「鳥田中」。屋号を「酒亭田中」に変えて再オープンしたらしいというを知ったのが今年の6月。そこから待つこと3ヶ月、ついに訪問が叶った。結論から言うとぱねぇ酒場だった。

鐘ヶ淵どこ問題

そもそも鐘ヶ淵ってどこなのよという話なのだが(この地名既に3回くらいタイポした)、場所としては墨田区。東京スカイツリーでお馴染みの押上駅から東武なんちゃらラインで3駅ほど。

押上から北千住へと続くこのなんちゃらライン上には実は気になるお店がいくつかある。そういう場所に行くのはちょっとワクワクしますよね?しませんかそうですか。気を取り直していざ鐘ヶ淵へ。

着いてみると……結構閑静なんだな…。あたりを見回しても駅周辺にはコンビニがあるくらいで居酒屋と呼べるのは「魚真」さんくらい。ここはここで気になる。

目指す「酒亭田中」までは徒歩6分程度。細い路地をそろそろと進んでいくと住宅地が続き、その中に”ぽつねん”とあった。

ぽつねん

白レバー逃しがち問題

入店すると一番乗り。その後次々とお客さんが入ってきて瞬く間に満席に。「大将ぉ〜、再開おめでとうございますぅ〜」みたいな常連さんばかりだとちょっと緊張しますよね。

初めてのお店ではメニューをじっくり眺める派の私。いつも通りセルフコースを組み立てていると注文が入るバンバン。で、みんな「白レバー刺し」注文するわけね。没個性時代を生きた身、バンドワゴンについていきたくなるのは悲しい性。注文したら売り切れだったマジか…。涙を拭いながら別の品と焼き鳥おまかせ8本を注文した。

注文を済ませて暫くビールを啜っているとお通し…….4品……。入店した直後からなんか揚げてるなーと思ったらいきなり手羽の唐揚げ出てきたお通しで。熱いうまいa.k.a熱うまい。

カリッカリ

次に出てきたのは白桃と無花果の白和え。果物の甘い香りと味わいに豆腐のほのかな塩味と旨味が調和した一皿。本当にお通しなんだよなこれ…。

ふんわり

お通しに衝撃を受けている場合ではない。注文した木の子と芹のお浸し。出汁からは木の子のムンムンとした香り、芹も初物でシャキシャキ。唐突に思い出したのは実家の近くにある神社の林。秋雨の次の日に行くとこういう香りしたなー。繊細で美味いものを口にすると情景が浮かぶことが5年に1回くらいありますよね?たぶんそれ。

木の子と芹のお浸し。出汁の香りがいい。

絶品の焼き物

焼き物への期待がインフレを起こしまくったところでいよいよメインの焼き鳥。まずは鳥レバーなんだけど、食べてみると……うますぎるなこれは。高まりまくったハードルを易々と超えてきた。中心までちゃんと火が通っているのに表面の焦げ付きや中身のパサつきが一切ない。焼き目の香ばしさ、レバー特有のムニッとした食感と甘みが絶妙な逸品だ。

白レバー

続けて手羽中、ソリレス(ももの付け根)、胸肉の抱き身(皮で巻いた胸肉)など、8本をいただいた。総じて肉質はとても柔らかく、身が含む水分と旨味のバランスが素晴らしい。表面の焼き加減は皮目をパリッと焼き上げていて食感も申し分ない。

手羽中

むねの抱き身。身を皮で巻いたものらしい。

ここまできて翌日また食べたくなっているのでこれは予約が取りにくくなるはずだな…。もうちょっと筋肉質な部位も食べてみたいなと思ったけど結構お腹が膨れた状態。次いつ来られるかわからない中で後ろ髪引かれる思いもあったが〆に向かっていくことになった。

〆を何にするか問題

焼き物を黙々と食べて日本酒をたらふく飲んだところで〆の料理。この日は親子丼、そぼろ丼、鶏雑炊、2種類の鶏そば(醤油と白湯)、SSカレーの6種類。さてどうしたものかと周りをうかがっていると親子丼5割、白湯鶏そば3割、醤油鶏そば2割といった状況、そしてそのうち何名かはSSカレーも注文するという始末。君たちさっきまでめちゃくちゃ串食べてたよね?

無事、白湯鶏そばを注文した……のだが、焼き場に目をやると金属製の串がぶっ刺さった鶏もも肉が豪快に炎を上げていた。親子丼用ですよねそれわかります。そして同じ光景を目の当たりにした隣のおっさんが親子丼を注文した醤油鶏そばに追加して。鶏そばに追加してアゲイン。

黄金の輝きが眩しい

私が注文した白湯鶏そば、それはそれは絶品であった。「濃厚白湯」と書いてあったので「脂ぎったチャッチャ系(注:豚骨)」を想像して少し身構えたのだが、高級な鶏ガラからとった白濁スープの上に同じ鶏から出た黄金に輝く脂、といった具合。スープを啜るとしつこさ、くどさは皆無。いやこれ旨すぎるわ。そしてこれを平らげたところであることに気づく。

「(これ追加親子丼ワンチャンありなのでは?)」

鶏そば自体は普通のラーメン屋で出てくる普通盛りの6〜7割といった大きさと量。追加で親子丼も食べられそうな雰囲気は”あり寄りのあり”だったのだが、この日は2軒目の予約をしており思いとどまることができた危なかった。

総括

酒亭田中、すごい酒場だった。焼き物は5本2000円(鶏4本野菜1本)、8本3000円(鶏6本野菜2本)、アラカルト(部位は多くざっと16種類)を選択でき焼き鳥玄人も存分に楽しめる内容。そして季節の素材を使った一品料理がこれまた実に素晴らしい。〆の食事はこれ一本でも行列店になるだろうなというクオリティで完全なるファイブツールプレーヤーである。ビールはやや高めだけど、日本酒は片口(ほぼ1合)で900円〜と良心的。ハイボール、シャリキン、ワインもグラスボトル両方用意があり全方位に対応している。

お店の人に聞くと「お一人ならまだ予約はお取りしやすいでやんす(意訳)。」とのことで、帰り道に早速予約リクエストを入れた。こんな人ばかりだからきっとこの先行けなくなっちゃうんだろうなぁ……。とはいえそこは真剣勝負。良酒場の席を譲る気は毛頭ない。

飲んだ日本酒↓

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